近年、テレビコマーシャルなどで広く知られるようになってきましたが、逆流性食道炎とは胃酸が胃から食道に逆流して生じる「ただれ」です。一般的な症状は胸焼けですが、その他、酸っぱいものが喉まで上がる(呑酸)、酸蝕歯、長期間続く咳、喘息などを生ずることもあります。原因は加齢などにより食道と胃の境界部がゆるくなることや唾液量の減量、肥満による腹圧上昇で酸が胃から食道に逆流しやすくなっていること、なんらかの原因により胃運から酸が十二指腸に流れにくくなり結果的に食道側に移動しやすいことなどがあげられます。
以前、日本においてはヘリコバクター・ピロリ感染率が高いために、酸が出にくい萎縮性胃炎(ヘリコバクターピロリで生ずる胃炎)の人口が多かったために逆流性食道炎は低率でした。現在はその感染率の低下に伴い増加しつつあります。診断は上部消化管内視鏡(胃カメラ)で行います。治療としては減量、低脂肪食、甘いものやアルコールや酸っぱい食べものを控える、寝るときの体位、プロトンポンプ・インヒビターや胃蠕動促進薬の内服などがあります。