国家公務員共済組合連合会広島記念病院

広島記念病院ブログvol.2

食道裂孔ヘルニア

胸部と腹部の間には横隔膜という隔壁があり、食べたものを胃に運ぶ食道は横隔膜の穴である食道裂孔を通っています。食道裂孔ヘルニアはその食道裂孔が大きくなったため、腹部にあるべきはずの胃が横隔膜の上に滑り出した状態で、高齢者や経産婦に多く見られます。そうすると胃の内容物が食道に逆流しやすくなり、胸やけを主として様々な自覚症状を呈する逆流性食道炎の原因となります。逆流性食道炎に対する治療の基本は薬物療法で、多くの場合自覚症状は改善されます。しかしそれでも症状が改善されない場合は手術適応となります。また胸腔内への胃の脱出が大きくて、肺や心臓を圧迫し、呼吸困難、動悸、頻脈などの症状を呈する場合も手術適応です。
 
手術に関しては、以前は開腹手術を行っていましたが現在は腹腔鏡手術を行っています。5か所の小さな穴をあけて手術を行います。胸腔内に脱出した胃を腹腔内に引き戻し、大きくなった食道裂孔を縫合して狭くします。そして逆流を防止するために食道下端を胃でえりまき状に包み込む様に固定を行います。腹腔鏡手術なので回復が早く、1週間以内に退院となります。患者さんにとって楽な手術になったので、手術適応が増えている印象です。

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