国家公務員共済組合連合会広島記念病院

広島記念病院ブログvol.21

B型肝炎/C型肝炎/
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

肝臓グループでは、B型肝炎やC型肝炎ウイルス感染などの慢性肝炎の診断、治療を行っています。

B型肝炎に対する抗ウイルス療法

B型肝炎に対しては、日本肝臓学会の「B型肝炎治療ガイドライン」に準拠した治療を行っております。まずは治療適応を判断し、治療適応のある患者さんに対しては、インターフェロンや核酸アナログ製剤による抗ウイルス療法で病勢をコントロールしていく治療が中心となっています。核酸アナログ製剤は、ウイルスの増殖を抑えてウイルス量を減らし、肝炎を鎮静化させます。内服薬で、副作用も比較的少ない治療薬です。しかし、変異により耐性ウイルスが出現して薬剤が効かなくなる場合もありますので、定期的に専門医による診療を受けるようにしてください。

C型肝炎に対する内服単独治療 (Direct acting agents; DAA治療)

C型肝炎に対しても、日本肝臓学会の「C型肝炎治療ガイドライン」に準拠した治療を行っております。かつては、C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス療法といえば、インターフェロン治療を中心としたものでしたが、2014年より、飲み薬だけでウイルスを排除する治療 (Direct acting agentsによる治療;DAA治療)が受けられるようになりました。この新しい治療方法が登場したことによって、今まで副作用の問題などからインターフェロン治療を受けることができなかった患者さんや、従来の治療では充分な効果が得られなかった患者さんも治療できるようになりました。また、C型肝炎ウイルス性肝炎排除に至る治療成功率(SVR率)も90%以上と高く、ほとんどの症例で副作用がないか、軽微なもののみとなっています。最近では、非代償性肝硬変の患者さんにも適応が拡大されております。治療導入には一定の条件もありますが、これまでのイメージで治療をためらっておられた患者さんも是非治療をご検討ください。なお、B型・C型肝炎の抗ウイルス治療を受ける際には、現在のところ、県から医療費の補助を受けられる助成制度がありますのでご相談下さい。また、ご自身がB型肝炎やC型肝炎にかかっているかどうか分からない方がおられたら、血液検査で簡単に調べることができますので、是非受診してみてください。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

肝臓に脂肪がたまった状態を脂肪肝と言いますが、特にアルコールを飲まない人に起こる脂肪肝で、肝硬変や肝細胞がんへと進行する、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が注目されています。かつては肝細胞がんの発生の多くはB型肝炎やC型肝炎ウイルスに感染している患者さんが占めていましたが、近年肝炎ウイルスに感染していない肝細胞がんの患者さんが増加傾向にあります。その原因としてNASHによる肝細胞がんの発生が疑われています。NASH発症の最も重要な因子は肥満であり、インスリン抵抗性の増悪や、糖尿病、脂質異常症、高血圧などのメタボリックシンドロームの存在は、NASHの発症や進展に影響を及ぼします。早期に的確な診断をうけ、食事・運動療法や薬物療法などの治療を受けることが重要です。

※2023/1/23 一部内容を最新の情報に更新いたしました。

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