国家公務員共済組合連合会広島記念病院

広島記念病院ブログvol.7

ヘルニア

ヘルニアとは

ヘルニアとはいわゆる脱腸のことで、体の筋肉や靭帯の隙間から腸管が体表側に出てくることを言います。ヘルニアの種類としては、鼠径ヘルニアや、腹壁ヘルニアなどがあります。
鼠径ヘルニアとは、両足の付け根をソケイ部と呼びますが、その鼠径部の靭帯の隙間から腸管が脱出することを言います。鼠径ヘルニアの主な原因としては、胎生期の発生異常による生まれつきのものや、加齢による靭帯や結合組織のゆるみがあげられます。

鼠径ヘルニアの診断・治療

鼠径ヘルニアの手術

鼠径ヘルニアは、手術で弱くなった組織をパッチで補強する治療を行い、これをヘルニア根治術と呼びます。当院では主に成人の鼠径ヘルニアの手術を行っていますが、手術の方法には大きく2つあります。腹腔鏡を用いて治療する方法(腹腔鏡下ヘルニア根治術)と鼠径部のヘルニア部分を切開して修復を行う方法(体外アプローチによるヘルニア根治術)があります。

腹腔鏡下ヘルニア根治術

腹腔鏡を用いる手術はお臍と左右の下腹部から5mmのポートを挿入し、手術を行います。お腹側の中から腹壁の弱い部分(ヘルニア門)を確認し、被覆材(メッシュ)を用いて穴をふさぐ処置を行います。反対の側を含め、複数のヘルニアがある場合や再発の症例については良い手術法と考えられています。手術は、全身麻酔で行い、手術時間は1時間半~2時間程度で、腹腔鏡を用いない方法と比べると、やや長くなります。

体外アプローチによるヘルニア根治術

腹腔鏡を用いない手術は、クーゲル法やメッシュプラグ法といわれる方法があります。ヘルニアの部分(鼠径部)の近くを4-5cm程度切開し、ヘルニアを腹壁側から修復します。ヘルニア部に被覆材(メッシュ)を挿入することは腹腔鏡手術と同じです。多くは背中の麻酔(腰椎麻酔)で部分的な麻酔で手術は行われ、手術時間は30分程度と腹腔鏡より短いといえます。

*それぞれの、方法には利点と欠点があり、患者さんと相談の上決定しています。当院では、ほぼ半々の患者さんがそれぞれの治療法を受けています。

腹壁ヘルニアの手術

腹壁ヘルニアは、腹壁に空いた穴から腸が体表側に出てきます。これは、生まれつき穴が開いていることや、手術後の変化が原因として挙げられます。ヘルニアの大きさにもよりますが、基本的には弱くなった腹壁にメッシュを挿入し補強する手術を行います。

手術後の経過

ヘルニアの手術後は、全身麻酔の場合翌日より、腰椎麻酔の場合夕食より食事を開始します。翌日より離床を開始し、経過によりますが手術後4日目前後に退院となります。

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