1.80mm大の側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor; LST)結節混在型病変(↓)
大腸がんの周囲の性状粘膜にマーキングを行う
大腸癌症例の増加は著しく、日本人の食生活の変化および診断技術の向上の結果と思われます。癌の浸潤があまり進んでいない(粘膜~粘膜下層まで)の早期がんについては、内視鏡切除を行います。がんの浸潤が粘膜下層以深の病変は手術を行います。当院では癌の手術が必要な方は、癌が進行しないようになるべく早く手術をしてがんを取り除くことを心がけ、通常、初診時から2週間以内に検査、治療を行っています。
当院では、大腸がんの早期診断、治療のために、内視鏡検査を積極的に行っています。
前処置で下剤の内服をしていただき、大腸をきれいにして、内視鏡を挿入し、病変を観察します。必要に応じて、鎮静剤を使用しますが、鎮静剤使用時は、当日の車やバイクの運転はひかえていただくこととしています。
原則、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行としますが、病変が2cm以上で大きな病変である場合には、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行します。その他、必要に応じて、緊急性の高い、内視鏡的止血術や大腸ステント挿入術を施行しております。
大腸がんの周囲の性状粘膜にマーキングを行う
広い範囲が切除されています
大腸がんは遺残なく的確に切除されている
腹腔鏡手術は創が小さく侵襲が少ないため、痛みが軽く、手術後の回復が早くなり、早期退院、早期社会復帰が可能となります。また、細かい部位の観察が可能となるため根治性や安全性にも優れた手術と考えられ、全国的にも急速に普及してきています。当院では平成9年から大腸癌の腹腔鏡手術を行っていますが、侵襲が少ないだけでなく技術も進歩しており根治性や安全性の面からも優れた手術と考えており、年々その割合が増加しています。
直腸癌の手術では、腹腔鏡手術により直腸のまわりの細かい部位が観察できるようになり、以前は肛門が残せず人工肛門が必要となっていた病態でも、現在は適応が限られますがISR(内肛門括約筋切除術)など肛門が残せる手術が可能となってきました。当院では癌の根治性を損なわずになるべく肛門を残すことを目指しており、癌が小さくなれば肛門が残せる場合は放射線治療や抗癌剤治療を行って癌を小さくしてから肛門を残すことができる場合もあります。
抗癌剤の治療は薬の進歩により様々な方法が選べるようになってきました。当院では最新の治療を患者さん個人の生活習慣や希望に合わせて安全に行えるように心がけています。
肝臓や肺など遠くの臓器に大腸癌が転移すること(遠隔転移)がありますが、以前は手術で取り除けなかった遠隔転移も抗癌剤の進歩により癌を小さくした後に手術で取り除けるようになることがあります。遠隔転移があっても抗癌剤治療を併用し手術で取り除くことで癌が根治することを目指しています。