国家公務員共済組合連合会広島記念病院

腹水治療センターAscites Management Center

センターについて

腹水治療のあたらしい選択として

腹水の原因は、大きく分けて、「がん性腹膜炎などによりお腹の炎症が原因で起こる場合」、「肝硬変、腎不全、心不全などの病気により血管内の浸透圧が低下し、血管に水分を保持できなくなった場合」があげられます。

概要

難治性腹水とは

お腹の中には、通常20~50ml程度の少量の腹水があり、腹膜で産生、吸収され一定量に調整されています。しかし、腹水が原因で、お腹の張りが強くなり、思い通りに食事ができなくなることがあります。食事が十分に食べれない状況が続くと、栄養状態が悪化くなり、体力が低下し、ひいては免疫力の低下につながります。

そのままに放っておくと低栄養やがんの進行から、さらに腹水が貯留するという悪循環に陥るため、いくつかの治療が試みられています。これらの治療でコントロールができない腹水を難治性腹水と言います。

腹水の原因

炎症が原因の腹水

お腹の中で炎症が起こり、血管内の成分が溢れだした腹水でたんぱく成分を多く含みます。代表的な原因は「がん性腹膜炎」です。

→ 胃がん、大腸がん、膵臓がん、卵巣がんなどのがん性腹膜炎

炎症以外に原因がある腹水

血管内にある水分が血管外に漏れだした腹水で、たんぱく成分が少ないという特徴があります。主な原因は、次のようなものがあります。

→ 肝硬変 、腎不全・ネフローゼ症候群、心不全  など

実績

広島記念病院における腹水治療

広島記念病院では、難治性腹水でお困りの患者さんを一人でも減らすことが出来るように、平成29年4月より腹水治療センターを開設しました。開設に先立って、改良型CARTの開発者である松崎圭祐先生にご講演(平成28年12月2日)いただき、また、要町病院での院内研修を行いました。腹水がなくなることにより、食欲回復、痛みの緩和、呼吸苦の軽減など、低下した生活の質(Quality of life; QOL)が劇的に回復される患者さんも経験しております。腹水治療は、緩和治療の一つとしても有効で、腹部の膨満感が解消され食欲が改善するなどQOLの回復が期待できるため、がん化学療法を再開し、予後の延長も期待できると考えています。

CART件数
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
胸水・腹水濾過濃縮再静注法 203 204 216 147 177

お問合せ先

腹水治療センター
TEL 082-292-1271(代表) 受付時間:水・金曜日 14:00~16:00
担当医師:外科 坂下 吉弘